#1 ビリー・ザ・キッドは本当に左利きだったのか?
左利きの無法者
ポール・ニューマン主演の「左利きの拳銃」やオーディ・マーフィ主演の「テキサスから来た男」では、主人公ビリー・ザ・キッドは左利きということになっていました。やはりビリー・ザ・キッドをモデルにしたといわれるマーロン・ブランドの「片目のジャック」でも、主人公は右手をつぶされて左で拳銃を撃つ練習をしていました。つまりどれも左利き。
その根拠となったのは右の唯一残っているビリー・ザ・キッドの写真です。ちょっと顔がマヌケですが、ちゃんと左に拳銃を吊しています。おそらくこれで、ハリウッドが一斉にビりー=左利きとなったのでしょう。
しかし早くからこれに疑問を持つ人も多く、1960年代のはじめにはビリー=右利き説も盛んになりました。



左利き説の疑問

 上の写真は原版を反対に(裏返しに)して焼き付けたものだというのです。その根拠はヴェストのボタンと穴の関係、それとウインチェスター銃です。
 ヴェストのボタンは通常右側、ボタン穴は左ですが、写真では反対のように見えます。
 ウインチェスター銃は弾を入れる孔が右についていますが、上の写真では左にあるように見えます。
 そこで上の写真を反転させてみました。(右)
 しかしウインチェスター銃は左利き用があっても不思議ではなく、ベストの穴も写りが悪いのでよくわからないのです。だからハッキリ断定することは出来ません。




「ならず者」(1946)
 この映画はかのハワード・ヒューズがみずから製作・監督した。恋人役のジェーン・ラッセルが色っぽすぎて問題になり、完成後4年もお蔵入りとなっていた。(今ではどうってことないのでしょうが)
ストーリーもかなりエエ加減のようです。
ビリー       ジャック・ビューテル
パット       トマス・ミッチェル
ドク・ホリディ   ウォルター・ヒューストン




「ならず者」のビリー・ザ・キッド

ビリー・ザ・キッド
ビリー・ザ・キッド(1859〜1881)
 21歳で射殺されるまで、21人を殺したビリー・ザ・キッドはニューヨーク生まれの都会っ子だ。
12歳の時母にしつこく言い寄る男を刺殺し放浪の旅に出る
 南西部でしばらくカウボーイをしていたが、大牧場主同士の争い「リンカン郡戦争」に雇い主も巻き込まれて、相手側と手を組んだ保安官たちに殺害される。
 心から慕っていた主人を殺されたビリーは、復讐に燃え、殺戮を繰り返し、やがて牛泥棒の殺戮団のリーダーとなる。いったんは捕らえられるが脱獄し、やがて親友パット・ギャレットが保安官に選任されてビリーを追い、潜伏先の農場で射殺。短い生涯を閉じた。



鏡像反転したビリーの写真


ついでに言えば、これはビリー・ザ・キッドの愛銃コルト・ライトニングです。銃把に「Billy」と彫り込んでありますので、いまでもそう信じられているのですが、最近これを疑問視する傾向が出てきました。
 この銃は22口径でずいぶん小型です。女性の護身用に適している大きさです。いくら名前が書いてあるからといって、いくら小柄だったからといって、こんな小さな銃で暴れ回ったなどとは考えられないのです。この当時、自分の銃に名前を彫り込む習慣があったとも聞きません。
結論
まあ、そんなことはどっちでいいことで、80年代に製作された「ヤングガン」などではふつうの右利きだったように記憶しています。

ビリー・ザ・キッドの活躍地、ニューメキシコ州をMAPで確認しよう。

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